AI活用法

AIに文体を覚えさせても、自分の記事にはならなかった

こんにちは。シオタニアキラ(@akiraaaaa_man)です。

AIに「アキラっぽく書いて」と何度言っても、僕の記事にはなかなかならないんですよね。

そう思ったのは、AIとの実務で起きた失敗や気づきをテーマに、無料noteを7本続けて作っていた、その中の1本、『「何をAIに任せられますか?」では、たぶん決まらない』を書いたときの話です。

AIが関西弁を混ぜて、短い文を連続させて、「そもそも」を差し込んでくるんです。

(ただのマネでちっとも僕っぽくない)

文章単体で見れば、それっぽい感じは受けます。でも通しで読むと、なんか違うんですよ。何が違うのかうまく説明できないまま、そのnoteをけっきょく自分が手直しをして作りあげました。

結論だけ先に言うと、足りなかったのは文体じゃなかったんです。

文章を書くときに僕が何を見て、何を選び、何を捨てているか?その判断の理由のほうでした。

でも、ここで「じゃあ判断基準を教えればAIは万能になるんちゃう?」って思うなら、この先の話が、半分死んでしまいます。

というのも、実際に起きたのは、そんなキレイな話じゃなかったんで。

AIは文章をマネできても、なぜそう書いたかは知らない

今回、そのnoteをChatGPT(チャッピー)と一緒に作っていて、最初にぶつかったのは「事実・本人の考え・仮説を混ぜない」というルールの解釈でした。

僕はこれを、事実→そのとき感じた違和感→そこから考えたこと→今持っている仮説を、ひと続きに書くためのルールだと思っていたんですが。

これは順番を守れという話であって、分けて書けという話じゃない。なのにチャッピーは逆に、それぞれを分離する方向に寄せてました。

AIに何かを任せようとすると、こちらの側の癖や判断基準の方が先にあぶり出されるんですよね。以前に記事にも書きました。

たった2人のAI社員に、僕の仕事や関わり方のクセが全部バレた。

今回も、僕が実体験や失敗談をはさんだ部分に対して、AIからは「寄り道が多くて離脱しそう」というフィードバックがあったんです。

こういうズレが何度か起きて、そのたびに直しては、また少しズレる。表面だけ拾われても、それは「アキラっぽい文章」のモノマネにしかならないんですよ。そしてだんだん、僕らしくなくなってしまってまた僕が全部書き直すとか。

(なんのためにAIに構成やネタを考えさせてるんや)

じゃあ、その「なぜ」の部分、判断基準そのものをAIに渡したら、何が変わるんでしょう?

判断基準を渡したあと、AIの評価まで変わった

そのnoteを書き上げて、まずClaude(クロちゃん)に見せたんです。書いたでっていう報告で。

でも、返ってきたのは、「タイトルで立てた問いへの答えに辿り着くまでが長く、本論に着く前に離脱してもおかしくないので、中盤を削るか、先に結論の芯を一文置いた方がいい」という趣旨の指摘だったんです。

言っていることは分かるんですよ。一般的なWebライティングの理屈で言えば、筋が通っているので。

でも、寄り道を削ることが、僕の記事にとって本当に正解なのか、そこにはどうも引っかかるものがあったんです。

答えを先に置けば読みやすくなるのも分かる。それでも、何かが違う気がしたんですね。

その引っかかりを、そのままにしておかずに言葉にしてみました。

このとき、いくつかの判断基準を一気に書き出したんです。そのうち、寄り道や記事構成について言葉にしたのが、この2つでした。

  • 結論は冒頭で見せてもいい、でも本文で意味を深め、最後に読者の理解を変える。
  • 最後まで読んでもらうために、各章で次を読む理由を必ず作りつつ、主線を失わせない。

AIにこの2つを伝えたんです。本文の方は、大きくは削らず、増えたのは一文だけ。

「そして実際に仕事を渡し始めたことで、『何をAIに任せる?』という最初の問いそのものが少しずつ変わっていきました。」

これを、寄り道の途中に置いたんですね。

あとから見返すと、この一文は、直前に言葉にした「各章で次を読む理由を作る」「主線を失わせない」という基準と、そのまま重なっていました。

その状態でもう一度クロちゃんに見せたら、今度はこう返ってきたんです。

「長い=悪い」ではない。長いのに次を読む理由がない=悪い。各見出しの引きが機能し、今回の寄り道量なら成立している。って。

記事は寄り道していても、意味と次への推進力があり、ときどき主線へ戻す杭が打ってあれば成立する。直線ではないだけで、ちゃんと一本道。

追加した一文については、「冒頭回収を予告する」型の引きになっている、ともチャットで返ってきました。

本文に入れた変更は、一文だけ。

寄り道の量も、記事の構造も変えていません。一方で、AIに渡した判断基準は変えました。

そして2度目に見せたときには、同じ寄り道を、離脱リスクではなく、一本道として成立していると見るようになっていたって言うんです。

このやり取りを見て、僕はこう考えました。

文章を直しただけではなく、AIが文章を見る物差しの方も、動いたのかもしれない。

じゃあ、あの日生まれた判断基準は、これで全部だったんでしょうか。そこも気になったところでした。

その判断基準を、僕自身も知らなかった

ただ、今回記事をクロちゃんに読んでもらって最初に引っかかったのは、寄り道の話だけじゃありませんでした。

同じフィードバックの文面の中で、クロちゃんは僕が書いた「忘れたはる」を「忘れてはる」に直そうとしていたんです。

「もう読者はなんの話やったか忘れたはるで」

チャッピーも、クロちゃんも、「忘れてはる」の方が自然ではないか、と判断したんですが。

でも、実際に僕が話すときは「いや、これ「て」とちゃうねん。「た」やねん」

そこで僕が使い間違ってるんかなって一瞬不安になったんで、実際に調べてみたんですよ。そしたら

調べてみると、京都では「〜したはる」という言い方が実際に使われていて、「勉強したはる」を「勉強されている」という意味でも使う例も紹介されていました。(参考:https://kyoto-kanko.net/2019/09/14/post-7323/ )

AIは文章として不自然だと判断したんですが、僕はそこに違和感を持ったので、どちらかをそのまま信じるんじゃなくて自分でも確認しました。その結果、今回は僕の感覚を残すことになったんです。

(とはいえ、調べる前は譲る気もなかったけど)

実はこの「関西弁を標準語文法の感覚だけで勝手に修正しない」という基準も、さっき書いた「主線を失わせない」などの判断基準と、同じタイミングで追加したものだったんです。

同じフィードバックの文面から、少なくとも2種類の判断基準が同時に言葉になっていました。削るか削らないかを決める基準と、直すか直さないかを決める基準です。

もうこれは判断基準をAIに渡した、というだけの話ではなくなってましたね。

AIに違和感を突きつけられたことで、自分でも知らなかった判断基準を、自分自身が掘り出すことになったんです。

完成した「アキラ文体」を渡せばいい、と思っていた

ここまでの流れを振り返ると、最初に自分が思っていたことと、実際に起きたことのあいだに、少しズレが出てきてて。

最初、僕はこう考えていたんです。AIに「アキラっぽい文体」を覚えさせるのではなく、「なぜそう書くのか」という判断基準を教えればいい、と。文体からルールへ、一段階だけ上げればいい話だと思っていました。

でも実際に起きたのは、判断基準を教える、で終わる話じゃなかったんです。判断基準そのものが、その日の制作の中で、AIとぶつかりながら初めて言葉になりました。

寄り道を削れという指摘への違和感から生まれた基準もあれば、関西弁を直されそうになった違和感から生まれた基準もあったので。

つまり僕は、完成した「アキラ文体」も、完成した「判断基準」も、最初から持っていたわけじゃなかったんです。

持っていたのは、AIの提案に対して「なんか違う」と感じる感覚だけで、その「なんか違う」を言葉にする作業を、AIとの衝突のたびにやっていたってことです。

だとすると、渡すべきものが変わってくるじゃないですか。

「こう書け」という型を渡すだけでは足りないんですよね。

なぜここでは短くするのか。
なぜここでは寄り道を残すのか。
なぜこの言葉は直さないのか。
どんなときに自分の判断基準を疑うのか。

この判断の仕方のほうまで渡さないと、またズレるんやろなと思ったんです。

さらに言えば、この判断基準も、今日の分で完成したわけじゃなくて。

次に記事を書くときには、また新しい僕の「なんか違う」が出てくるはずで、そのたびに基準は増えたり、書き換わったり常に変わってくもんだなと。

だとしたら、AIに渡すものも、一度作って終わりじゃないんでしょうね。

僕はAIに自分の文章を覚えさせているつもりでした。

でも実際にやっていたのは、自分でも説明できなかった「自分が文章を書くときに何を見ているのか」を、AIとのやり取りを使って、少しずつ言葉にしていくことだったのかもしれません。

文章の書き方からAIが人柄や価値観をどこまで読むかを検証したときも、そういや同じことを考えていました。

 

ChatGPTに自分の記事を読ませたら、書いてないはずの「人柄」まで読まれていた

ここでようやく、冒頭の話に戻る

ちなみに、冒頭で「まさに今この文章が僕っぽくない」と書いた部分の話になるんですが。

あの3つの言葉「関西弁を混ぜてくる。短い文を連続させてくる。『そもそも』を差し込んでくる。」は、この記事を作っている途中で、AIが実際に出してきた言葉なんです。

それを見て僕が「これって、短文の連射になってるやん」と気づいて、今のかたちに自分でつなぎ直し、修正して書き直しました。

AIが出してきた文章に対して、僕が「なんか違う」って気づいて、「なんで違うんやろか?」を言葉にする。そしてつなぎなおして修正しています。

この記事のテーマそのものを、この記事を書いている最中にも、もう一度なぞっていたことになるんですよ。

仕込んだ伏線じゃありません。書いてる途中で、記事の主張と同じことが実際に起きただけです。

この記事を書いている間にも、判断基準がまた一つ増えた。

 

ここまで読んでくれてありがとうございます。

今回書いたのは、AIとの実務で起きた気づきをまとめている無料note「AI実録シリーズ」全7本のうちの一本、その制作過程についての話でした。

この続きも含めて、AIを仕事に取り入れながら何に気づいていくのか、そこから追ってもらえたらと思います。

ひとり経営×AI|シオタニ アキラ|note

 

こういうAI活用の気づきは、noteにまとめる前の段階から、AIの活用に特化したXのアカウントにもポンポンと軽く投稿しています。まだ形になっていない違和感や、制作途中の実験を見たい人は、Xフォローしておいてください。

アキラ|ひとり経営×AI @hitori_AIwork

 

もう少し継続して追いたい、直接やり取りしてみたい、という場合は、仕事になる前にお互いを知るための場所として、オープンチャットとYouTubeライブを案内しているページがあります。

文章だけじゃなく、普段どんなふうに考えて、どんなふうに話しているのかも含めて見てもらえるので、気になる方から覗いてみてください。

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