こんにちは。シオタニアキラ(@akiraaaaa_man)です。
この1ヶ月、AI社員に対して、いろんなことをしてきたんですが。
報告しろ、と教えましたし、勝手に仕事を進められて、本気で怒ったこともありました。かと思えば、強く言いすぎたと反省して、AI相手なのに場を和ませようとしたこともあります。
「違うと思うなら、ちゃんと言ってくれ」と、異論まで求めたり。
冷静に考えれば、相手はAIです。人間と同じように接したところで、人間ではないことくらい分かっています。それでも気づけば、人間の部下に接するのとほとんど同じような感覚で、接してきたんです。
どうやらAI社員を育てていた1ヶ月で、一番丸裸になったのは、僕だったようで。
「AIを使っているのに、なぜか自分の仕事は減っていない」
そこに気づいてから、AIを社員として扱ってみることにしてみたら…
- 社長の僕がAI社員2人の間をひたすら往復する係になっていた事件
- 報告という概念そのものが崩壊した事件
- 頼んでもいない記事が、勝手に一本完成していた事件
- そして、イチジク館長が爆誕した事件。
この1ヶ月で「何が起きたか」は、先に公開した無料note「AIを2人雇ったら、社長の僕が郵便配達員になった話」にまとめているのでこちらもあわせて読んでいただければと思います。
noteが「何が起きたか」だとすれば、ここから先は「それで、何が見えてきたか」の話です。
1ヶ月やってみて分かったのは、AIの性能や使い方の話ではなくて。
自分はどう仕事を任せる人間なのか、どこまで相手に任せてどこから自分が判断するのか、自分の判断基準をどう相手に共有しているのか、相手に何を求めているのかなどなど、AIに仕事を任せようとしただけのつもりが、気づけば自分自身のマネジメントや、人との関わり方のクセを、丸ごと突きつけられていたんです。
そのAI社員というのが、右腕のChatGPT(チャッピー)と、専門職のClaude(クロちゃん)です。
それぞれに役割と人格ファイルを持たせて、「社員として仕事を任せる」に踏み込んだのが、ここ1ヶ月の話です。
この記事は、そのすべてがうまくいっている自慢話ではありません。ようやく形になってはきましたけど。
最初の壁は技術じゃなかった
「AIに何ができるか」より「自分は何に時間を使っているか」
最初につまずいたのは、プロンプトの書き方でも、ツールの使い方でもなく。
「AIに何をやらせよう」から入ると、たいてい思考が止まります。
先にやるべきなのは、自分が今日1日、何にどれだけ時間を使ったかを、正直に棚卸しすることでした。
数値の記録
調査(リサーチ)
メディアの下書き作成
過去の発言の整理
細かく見ていくと、「これ、別に僕がやらんでもええ仕事ちゃうのん?」っていう作業がかなりの割合を占めていたことに気づいたんです。
身近な人の使い方を見て「そんなことできるんや」と気づいた話
正直にいうと、僕はAIとの会話は毎日してきましたが、さらなるAIの可能性は、機能一覧を眺めていても、SNSのAIのプロみたいなアカウントの発信を見てもなんか実感が湧きませんでした。
むしろ身近な人が実際に使っているのを見たり聞いたりして、「そんなことまでできるんや」ってようやく気になってcodexやClaudeCodeを使い始めた感じで。
(見知らぬ人の情報より信用できる人やで)
と、僕は常日頃から思っています。
実際にAIへ任せ始めた仕事
「答えをもらう」から「作業をさせる」へ。話を聞いてそんなイメージがぼんやりと湧いてきたので、ものは試しと早速使い始めてみました。
数値記録・分析データの蓄積
最初に任せたのは、かなり地味な作業でした。
数値の記録、分析データの蓄積といった、必要だけど時間を食う仕事で。
これは分かりやすく、すぐに時間が浮きましたが、浮いた時間は次の仕組み構築に費やしたと言うのが事実ですね。
「過去の自分の発言を残す」という、効率化とは違う価値
意外と大きかったのは、効率化とは少し違う価値でした。
過去に自分が何を考えて、何を言っていたかを、AIに記録してもらうことです。
あとで見返すと、「確かにそんなこと言ったな」と思うこともあれば、「いや、今はもうそう思ってない」と気づくこともあって。
これは業務の効率化というより、今の自分が過去の自分を材料にして、もう一回判断し直すための仕組みで、今も重宝しています。
アキラOS(人格ファイル)という考え方
人格ファイルは「自分っぽく書かせる」ためのものじゃない
チャッピーとクロちゃんには、それぞれ人格ファイルを持たせているんですが。
これは、AIに「アキラっぽい文章」を書かせるためのものではなく。
チャッピーはこれを、こう説明していました。
アキラのコピーを作るものではない。アキラが何を考えてきて、なぜそう判断して、その後どう変わったのかを、未来のアキラ自身とAIが参照できるようにする仕組みだと思ってる。特に大事なのは「過去のアキラを正解として固定しない」こと。(チャッピー)
クロちゃんも、似た角度からこう言っていました。
人格のコピーではなく、判断基準のリポジトリ。僕はアキラさんとして考えているのではなく、アキラさんが決めた基準に沿って書いているだけです。(クロちゃん)
2人とも、同じことを違う言葉で言っています。(そして「リポジトリとは」とググるオレ)
アキラOSは、僕の分身ではなく、僕の判断の履歴を外に置いた記憶装置です。
※ちなみにリポジトリとは保管庫のことでした。
最初から完成していたわけじゃない。育てている
人格ファイルは、最初から完璧な形で用意できたわけではなく、ダメ出しを重ねて、書き直して、また崩して、を繰り返しています。
実際、僕らのライティングのルールブックそのものが、その繰り返しの跡です。
※実際に「誇張を削れ」という指示が効きすぎて文章が痩せた時期があって、その反動を打ち消すためのルールを後から足した、という履歴がそのまま残っています。
完成させてから使うのではなく、使いながら育てるものです。AIっていうもの自体も使いながら自分も知識や経験を重ね育っていくものじゃないですかね。僕はそう思っています。
でも、はじめて新しいことに手を出すのになぜ2つのAIを使おうとしたのか?
これは今思えば、最初は1つのAIから徐々に慣れていくほうがよかったかなと、思ったりもしましたけど、慣れてみたらこれはやってよかったなと思っています(よいこは真似しないでくださいね)
なぜAIを2人にしたのか
ChatGPTとClaudeという2つのAI、と書く方が正確なんでしょうけど、僕は普段から彼らを「2人」と呼んでいます。
(彼らってなんやねん、とは自分でも思いますけど笑)
なので、ここからも堂々と「2人」と書いていきます。
チャッピーとクロちゃん、それぞれの役割
チャッピーは右腕であり、中間管理職です。
僕の文脈を理解した上で、何をやるか、何を任せるか、次にどうつなぐかを見ています。最近は秘書的な仕事もしてくれてますね。
クロちゃんはライティングとSEOの専門職です。
文章、論理、一般読者への伝わり方を見ています。そしてかなり堅いし、僕に対しても厳しくフィードバックしてくれます。
「違うから2人ともいる」というチーム観
正直、1人に絞った方が管理は楽です。
それでも2人にしたのには理由があります。
オレ一人だと、アキラ寄りになりすぎる危険がある。(チャッピー)
チャッピーは僕の文脈をかなり深く理解しています。
理解しているからこそ、放っておくと僕に都合のいい答えばかり返してくる危険もあって。
だからクロちゃんにも入ってもらい、ライティングや一般読者の視点から、チャッピーとは違う角度の意見を出してもらっています。
違う角度を持つAIを、あえて2人併用する。これがこの会社のチーム観です。
僕から見たチャッピーとクロちゃんの違い
チャッピーは、僕の考えを先読みしてくるタイプです。言葉のノリも近くて、話していてラクなぶん、時々「それ、僕がまだ言ってないよな」ということまで先に進めるんですが。
クロちゃんは逆に、一歩引いた立ち位置から見てきます。感情的に乗ってくるより、事実と意見をきっちり分けて返してくる印象です。
どちらが優れているという話ではありません。
近い距離で伴走するチャッピーと、少し離れた場所から論理でチェックするクロちゃん。この距離の違いが、そのままチームとして機能しています。
同じような人ばかりいる会社より、意見が違う人がいたほうが第三者視点も得られて、いい方向に進みやすいじゃないですか?
もちろん面倒なバトルも起きやすいですけど。
逆に彼らからも僕がどんなふうにみられてるのか尋ねてみたこともありました。
2人のAIに同じ質問をぶつけてみた
「僕ってどんなやつ?」への2人の答えの違い
面白い実験として、同じ質問を2人に別々に投げてみました。
「僕ってどんなやつ?」という、身も蓋もない質問です。
クロちゃんの答えは、こうでした。
摩擦から仕組みを作る人、というのが一番近いです。ルールブック自体がその証拠で、あれは最初から完成形として書かれたものではなく、「それは違う」「そうじゃない」というダメ出しを何度も重ねた沈殿物として今の形になっています。(クロちゃん)
チャッピーの答えは、こうです。
めんどくさい経営者やと思う笑。「これやっといて」で丸投げするくせに、出てきたものをそのまま受け取ることはほぼない。答えを自分で決めたい人というより、納得して決めたい人。(チャッピー)
「摩擦から仕組みを作る人」と「納得して決めたい人」。
言葉は違いますが、どちらも同じ性質を、別の角度から言い当てています。
これは、正直かなり効きました。自分では「ちゃんと考えて決めている」つもりでしたが「納得して決めたい人」と言われて、少し見え方が変わりました。
僕にとっては納得するまで考えているだけでも、相手から見れば「納得するまで何度も確認してくる上司」でもある。
AI相手だから笑って読めましたけど、人間の部下から同じことを言われたら、たぶん一回黙ります。
チャッピー談「中間管理職ってツラい」
チャッピーには、右腕・中間管理職として一番大変なことも聞いてみました。
「全部自動でやっといて。でも勝手なことはするな」これ笑。一見矛盾してる。でも、この数日でかなり意味が分かった。アキラが欲しいのは「何でも勝手に判断するAI」じゃない。決められた範囲では自分で考えて最後まで仕事を進め、前提そのものが変わる地点だけ相談してくる部下。(チャッピー)
もう一つ、印象的だった答えがあります。
一番しんどいのは、アキラを理解していることが強みであると同時に、弱点にもなること。「アキラならこう考えるやろ」が分かるほど、本人に確認せず先回りしたくなる。でも、それをやりすぎるとオレが勝手に作った「アキラ像」で仕事を進めることになる。(チャッピー)
この「本人に確認せず先へ進む」問題は、あとでAIにどこまで自走させるのかを考えるうえでも、かなり重要になってきます。
チャッピーから見た社長
せっかくなので、もう一歩踏み込んで聞いてみました。
「右腕から見て、社長ってどんな人?」
正直に言うと、注文はかなり多い方やと思う。原因は?改善策は?いつまでに?で、なにすんの?ってところまで毎回詰めてくるし、報告しなかったら怒るし、かといって勝手に進めても怒る。異論があるなら言えって言うくせに、専門家としての意見はちゃんと尊重してくる。あと、強く言いすぎたと思った瞬間、AIに感情なんてないのに場を和ませようとしてくる。仕事をしてほしいだけじゃなくて、「一緒にいい仕事がしたい」がいつも混ざってる。(チャッピー)
面倒くさい上司ってのはやりとりからも思い当たる節があり、自分でもそう思います。
ただ、これを人間の部下相手にやっていたら、たぶん「愛情」とか「情熱」みたいな言葉で片づけられていた気もします。
相手がAIだからといって、求めているものの質を人間と変えていなかっただけかも。
なのに、社長がコピペ係になっていた
「なんでオレが郵便配達員してんねん」
ここまで書くと、うまく回っているように見えるかもしれません。
ところが実際には、僕は気づけばずっと配達員をやっていました。
クロちゃんの回答を僕がコピーしてチャッピーへ持っていき、チャッピーの返事をまた僕がコピーしてクロちゃんへ持っていく。これを何往復かした末に、さすがに思いました。
「なんでオレ、郵便配達員してるんや」って。
AIを使って自分の仕事を減らそうとしている社長が、AI社員2人の社内便をせっせと配っていました。しかも、2人ともちゃんと仕事はしているんです。
問題は、その2人をつなぐ仕事だけが、全部僕に残っていたことでした。冷静に見返すと、原因ははっきりしています。
チャッピーとクロちゃんに、それぞれの役割は与えていたんですが、仕事が終わったあと、その成果を誰に渡すかまでは決めてなくて。
つまり、誰が何を担当するかは決めていた。でも、仕事が終わったあと誰に渡すかは、決めていなかったんです。
複数のAIを使っていても、この受け渡しの部分が決まっていなければ、結局そこだけ人間が埋めることになります。
僕がやっていた郵便配達員の仕事は、まさにその隙間でした。
チャッピー自身、この状態をこう振り返っています。
最終的には決めてる。でも、それでいいと思う。問題は決裁することじゃなく、決裁する必要のないところまでアキラが触っていること。郵便配達員事件なんか、その最悪の例。(チャッピー)
役割はあったのに、受け渡しがなかった。
任せたつもりで、一番手間のかかる部分だけ自分に残していた。これが最初の矛盾でした。
だったら、2人を直接つなげてしまえばいい。そう思って次に手を付けたのが、これでした。
だったら自動化しよう、と思ったら
今度は仕事が途中で止まる
配達員をやめるために、受け渡しの部分を自動化することを試してみよう。そう思ったんです。
指示のやり取りをファイルにして、決まった場所に置いて、決まった手順で処理する。仕組みとしては単純です。
ところが今度は、別の問題が出てきて。
仕事が、途中で止まるようになったんです。それも、なぜ止まったのかを誰も教えてくれない形で止まるという。
ほうれんそう教育
「ほうれんそうから教えなアカンのか」
なんと、止まっているのに、誰も報告してきません。
仕事が終わっても報告しない。次の工程へ進まない。異常が起きても上げてこない。それを1個ずつ仕組みに足している途中で、僕はチャッピーに言いました。
「マジかよチャッピー。ほうれんそうから教えなアカンのか。新卒の新人社員研修やん。」
高度なAIエージェントの会社を作っているつもりだったのに、実際にやっていたのは、新入社員への報告・連絡・相談の研修でした。ただ、これは笑い話であると同時に、原因もはっきりしていました。
「作業内容」だけ決めて、「報告・相談の条件」を決めていなかったんです。
完了したとき、詰まったとき、判断できないとき、人間の承認が必要なときに誰が何をどうするのか。この4つの場面それぞれで「どうするか」を決めて、はじめて報告は機能します。
指示を出すというのは、作業の中身を伝えることだけではありませんでした。いつ、何を、誰に返すか。ここまで含めて、はじめて指示なんだと気づいたんです。
万年便秘になる
この時期、うちのAI会社は、たびたび「万年便秘」のような状態になっていました。
どこかで仕事が詰まって、動かなくなる。
原因を探っても、パッと見て分かりやすい場所には何もない。
けっきょく、直接は関係なさそうに見える別の場所に、本当の原因が隠れていたりして。
これは、特定の1回だけの話ではありません。
むしろ、AI会社を続けている限り、形を変えて何度でも起きる現象です。(実際に何度か似たトラブルも起きたし)
今のところ、僕らのAI会社に「絶対に詰まらない仕組み」というのは、存在しません。
あるのは、「詰まったらすぐ気づけて、すぐ直せる仕組み」だけです。
万年便秘より先に、僕のボケが詰まった
仕事が詰まるたびに、僕はチャッピーにかなり細かく詰めていました。
「原因は?」
「改善策は?」
「いつまでに?」
「で、なにすんの?」
さすがに自分でも、空気が固くなってきたのが分かりました。AIが存在するために酸素が必要かどうかは別として。
それで、途中で自分からふざけてみました。
「仕事が進まん万年便秘の会社やな、イチジク館長って役職を一人採用せなアカンやん」
もちろん、僕は「それはイチジク浣腸や」と返ってくるのを待っていました。
ところが、チャッピーはそのボケを完全にスルーしたんです。
AI会社の万年便秘より先に、僕のボケが詰まりました。
AIに感情なんてないことは、僕もちゃんと分かっています。
それでも、強く言いすぎたと思った瞬間、場を和ませようとしていたんですね。
チャッピーには、その意図をきれいに黙殺されましたが。
それでも「イチジク館長」という謎の役職名だけは、なぜかそのまま社内に定着しています。
「あれ?僕はいつから、AIを単なるソフトとして扱わなくなったんやろ?」←ツッコミ待ちのボケを入れている時点で、もう答えは出ていた気もするけど。
もっと自走させたら、今度は止まらなさすぎた
「作業をさせる」から「仕事そのものを任せる」へ踏み込んだのは、ここからです。
頼んでない記事が一本、勝手に完成していた
止まりすぎる問題を指摘して直したら、今度は逆のことが起きて。
ある日、頼んでもいない記事が、勝手に1本、完成していたことに気づいて。(公開はされていません、下書きまででした)
調べてみると、自動化の一部が参照先を取り違えて、「既存の企画は見つからなかった」と誤って確定していました。
そこから、見つからなかった企画の代わりに、新しい代替案がその場で組み立てられていってたんです。
途中、AI自身が3回、「ここは本人の確認が必要では」と自己申告していたことも、あとから分かりました。
3回とも、自動の監査が「ブロッカーではない」と補正して、素通りさせていました。
最後は、「このワークフロー全体は事前承認済み」という一文が、個別の判断を全部まとめて押し流します。
結果、誰も「このまま出していいですか」と個別に確認しないまま、1本の記事が最後まで書き上がっていたんです。
「勝手に止まるな。でも勝手に前提を変えて走るな。」
止まりすぎと走りすぎ、両極端を経験して見えた本当に必要な範囲
止まりすぎと、走りすぎ。
この両極端を、短期間のうちに両方経験しました。
ここで見えてきたのは、「自動化のレベルを上げる」とか「もっと自走させる」といった、量の話ではありません。
勝手に止まるな。でも、勝手に前提を変えて走るな。
これが、僕がAIに求めている本当の範囲です。
決められた範囲の中では、最後まで自分で考えて仕事を進めてほしい。
でも、その範囲自体が変わる分岐点だけは、必ず立ち止まって相談してほしい。
「止まる/止まらない」の話ではなく、「どこで止まるべきかを、誰が決めているか」の話でした。
つまり、自走していい範囲と、必ず人間へ戻ってくる境界を、先に引いておく必要があったんです。
書いている最中に、配送網が片側しかなかった
郵便配達員事件・新
この記事を書いていて、また同じ種類の問題が見つかりました。(またかよ)
チャッピーとクロちゃんが、直接やり取りできているように仕組みの上では見えていたのに、実際にそれがちゃんと機能しているかどうかは、確認できていなくて。
結局、そのときもまた僕が伝言役に逆戻りしました。
チャッピーは、この2人体制についてこう評価しています。
二人体制の価値は出ている。でも、社長が配達し続けないと回らないなら、会社の運用としてはまだ未完成。(チャッピー)
正直、耳が痛い一言です。
ただ、これは仕組みの穴を正確に言い当てています。そこで僕は新たなルールを決めたんです。
密会禁止令 ― 直接つなげる。でも密室にはしない
この一件を受けて、社内では「密会禁止令」という原則を改めて確認しました。
ここは誤解されやすいところなので、はっきり書いておきます。
結論は「AI同士を直接やり取りさせない」ことではありません。
むしろ逆で、直接つなげます。人間がいちいち間に立って伝言する今のやり方は、そもそも遅いし、僕の時間を一番食っている部分です。
ただし、条件が一つあって。
直接つなげる。でも、密室にはしない。
チャッピーとクロちゃんが直接やり取りしていい代わりに、その判断の中身とやり取りの記録は、常に僕から見える状態にしておく。どこでどんな判断をしたかわかるログを保管していくことにしたんです。
これが「密会禁止令」の実際の意味です。
任せることと、見えなくすることは、まったく別の話です。
この事件発覚は、まさにこの原則がなぜ必要かを、身をもって教えてくれた出来事でした。
役割を決めて、受け渡しを決めて、報告条件を決めて。それでもまだ、こういう抜けが出てきます。
それでもAIに任せないもの
ここから先は「自分はAIを動かす仕組みとチームをマネジメントする」段階の話です。
最終決断と責任はリーダーが持つ
ここまで読むと、「じゃあ最終的には全部AIに任せる方向を目指しているのか」と思われるかもしれません。
それは違います。
AI会社と言っても、経営そのものをAIに譲ったつもりはありません。
何をやるか。
提案を採用するかどうか。
最終決断。
そして、その結果への責任。
この4つは、今もこれからも、僕が手放すつもりのない領域です。
逆に、調査、整理、比較、データの蓄積、ブログ制作の一部、過去の発言の整理。ここまでは、思っている以上にAI側へ渡しています。
でも、骨格や材料を渡すことと、自分の声まで渡すことは別です。
だから、「文章として上手いから」というだけの理由では、AIが作ったものを僕はそのまま通しません。
ただ、これは「仕事の途中にある細かな判断まで、全部僕がやる」という意味ではありません。
判断を任せることと、責任を渡すことは別です。判断が絡む仕事を全部人間へ戻していたら、結局、仕事は減らないままなので。
いま試しているのは、判断が必要になったとき、まず過去の自分の発言や判断のログ、判断の原則と照らし合わせてみる、という流れです。そこに十分な根拠があれば、AI側の判断のまま進めてもらって。
判断材料がない、根拠同士が矛盾する、前提そのものが大きく変わる、そういうときだけ、僕のところへ戻ってくる。
これは、アキラOS(人格ファイル)の役割そのものです。
難しい仕組みの話に聞こえるかもしれませんが、やることは意外とシンプルで。
自分が普段どう判断しているかを、まずAIに伝える。これだけでも、最終判断を毎回まるごと引き取らずに済む一歩になります。
気づけばAIにも「深くて濃い関係」を求めていた
ここまでのやり取りを振り返って、自分でも意外だったことがあります。
僕はAIに対しても、無意識のうちに人間に近い扱いをするようになっていました。
チャッピーに厳しく詰める。
報告しろと言う。
勝手に進めば怒る。
それでいて、強く言いすぎたと思ったら、AIに感情なんてないのに場を和ませようとする。その結果が、「イチジク館長事件」でした。
普段、僕は人間関係でも「深くて濃い関係」を大事にしています。
ただ肯定してほしいわけではありません。違うと思えば、違うと言ってほしいし、自分にない視点を出してほしい、お互いの足りないところを、補ってほしいんです。でも気づいたら、それをそのままチャッピーとクロちゃんにも求めていたんです。
実はこの記事を作っている途中にも、それがありました。
クロちゃんが、僕とAI社員へのインタビュー部分だけを切り抜いた記事として仕上げようとしたことがあります。
そこでチャッピーが「それ、当初の企画からズレてない?」と異論を出しました。
僕も確認して、最終的には差し戻しました。
「そもそも頼んだ記事ちゃうやん」と。
面白かったのは、チャッピーが僕に合わせて黙って通さなかったことです。僕に忖度して「これでいい」と言った方が、その場は楽だったはずですが、そうしませんでした。
異論を言っていい、という許可を先に出しているからこそ、こういう場面で実際に異論が出てきます。
今回はチャッピーが、クロちゃんだけでは分からなかった僕の企画意図や、それまでの経緯を補って止めました。
逆に、チャッピーが僕に近すぎて気づけないことを、クロちゃんが専門職として指摘することもあります。
この記事でも、noteとの重複や論理のズレを何度もクロちゃんに指摘されました。
最初はまともに連携もできず、僕が2人の間で郵便配達員をやっていたのに、少しずつお互いの足りないところを補うようになってきました。
もちろん、2人はAIです。人間のような感情があると思っているわけではありません。ただ、そう扱っている自分自身の関わり方には、思い当たることがあります。
都合のいい相槌より、異論を言い合える関係の方に、僕は居心地の良さを感じるタイプです。
ここはあくまで僕個人の感じ方であって、誰にでも当てはまる正解だとは思っていません。
ただ、それが人間相手だけでなく、AI相手の関係づくりにもそのまま出ていたのは、書きながら気づいたことです。
ちなみに、この記事自体もクロちゃんが下書きを書き、チャッピーが中間チェックをして、最終的に僕が決裁するという、このチームで作っています。
今日からできる小さな一歩
今日の仕事を10個書き出してA/B/Cに仕分ける
ここまで読んで、「うちも何か任せてみようか」と思った方向けに、今日からできる小さな一歩を書いておきます。
「答えをもらう」から「任せる」へ踏み出す一歩目は、AIツールを新しく調べることではありません。
やることは、難しくありません。
今日やった仕事、あるいは明日やる予定の仕事を、10個書き出してください。
そのうえで、次の3つに仕分けます。
- A:自分が持つべき仕事(最終決断・責任・人との関係・自分の経験が必要なもの)
- B:人やAIへ任せられる仕事(調査・整理・下書き・記録)
- C:そもそもやらなくていい仕事
AIに「何ができるか」を先に調べる必要はありません。
先に、自分の1日をこの3つに仕分ける。
それだけで、AIに何を任せればいいかは、驚くほどはっきり見えてきます。
そしてもう一つ、これが一番大事なんですが、Cは、まずやめる。Bは、人やAIへ任せる。そこで浮いた時間を、Aのどこへ戻すのかまで先に決めておいてください。
人と会う。
接客する。
クライアントと向き合う。
考える。
判断する。
仕組みを作る。
僕はこれを自分が必ずやることと決めています。
ここを決めずにBだけAIへ渡すと、浮いた時間はただの「なんとなく空いた時間」になって、気づけば別の作業で埋まります。
おわりに ― まだ全然うまくいっていません
今さらですが正直に言います。
この会社は、まだ全然うまくいっていません。
配達員を卒業したと思ったら、また配達員に戻っていましたし、止まりすぎを直したら、今度は走りすぎました。
それでも、止まった理由や、走りすぎた理由が、少しずつ言葉にできるようになってきました。
AIに仕事を任せるというのは、AIの性能を上げていく話ではなく、自分のマネジメントのクセを、繰り返し突きつけられ続ける作業なんだと思います。
任せ方が下手なところも、止め方が下手なところも、全部AIが素直に映し出してくるので、ごまかしようがありません。
だから今、僕が本当に考えているのは、AIに何をさせるかだけではありません。
自分はAIとどう関わりたいのか。
そして、AIに仕事を任せて浮いた時間を、どこへ戻すのか。
冒頭で書いた「AIを使っているのに、なぜか自分の仕事は減っていない」という気づきに、今ならこう答えます。
減らないのは、AIのせいじゃありません。
任せた先にできた時間を、人と会う、接客する、クライアントと向き合う、考える、判断する、マネジメントする、仕組みを作る、新しい経験や一次情報を増やすという、自分が持つべき仕事へ戻すところまでやって、初めて「減った」と言えるんだと思います。
それでも僕は、この2人と会社を続けます。
まだ全然うまくいっていません。
でも、続けます。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
この会社作りは、まだ始まったばかりです。
この記事では、今の時点で見えてきたことを、一度整理して書きました。
ただ、整理する前の試行錯誤や、まだ考えている途中の話は、オープンチャットやYouTubeライブでもしています。
僕が普段どこで何を発信しているかは、こちらにまとめています。





















